民報サロン3ラウンド目です。私の日常と、その話から派生した「運」について寄稿しました。タイトルに「秘策」と書いて実際は大したことない、秘策でも何でもないですね笑
「運を上げる秘策」
艶があり瑞々しい色をした榊が好きだ。毎朝榊立ての水と神棚に供える水を取り替える。水は流れていなければ(動いていなければ)悪くなっていく。そして、人体の半分以上は水分で構成されているため、自分自身動いていかなければ腐るよ、という自戒の意味を込めながら、いつも水を変える。水を変えたら、神棚に向かい二礼二拍一礼。昨日への感謝と本日の安全と商売繫盛を祈願する。これが仕事前のいつものルーティーンだ。
私は郡山市安積町長久保で不動産業を営んでいる。私と妻とパートさんの計3名の小さな会社だ。自宅も会社の近くにあり、徒歩でも通える距離だが仕事柄市内各所はもちろん、県内各所へも移動が多いため、もっぱら車通勤だ。社長であり営業であり事務員であり、と複合的に一人で何でもこなさないといけないため、毎日が怒涛の忙しさで、字の如く心を亡くしているときがままある。そんな時は近くのカフェに避難し一息つく。近くにこのようなお店があることがありがたい。県中エリア、ひいては自分の住む周辺が少しでも豊かになるようにしていきたいと願い地域密着で不動産の仕事に取り組んでいる。
不動産屋といえども色々な不動産屋があり、各社の個性や得意分野がある。私は特に「空き家」「空き店舗」について広義的な利活用を推し進めたいと思って空き家を使いたい人と空き家のマッチングに取り組んでいる。ただ、この事業は始めたばかりで、実際には通常の不動産業務(土地建物の売買・賃貸・管理など)がメインだ。先日、半年がかりで進めてきた大きめの案件が、競合他社に負け全てが泡と消えた。あくまで成功報酬。頑張って努力を重ね時間を費やし成約のため必死に食らいついたとしても、契約に至っていなければ仕事として成立しない。むしろ費やした時間の分だけマイナスとなってしまう。妻からも、この運否天賦の職業に「ジェットコースターのように安定しない」「仕事なのにギャンブル的なところがある」などの苦情が寄せられる始末。とほほ。それは言い得て妙、私もこの仕事をやっていてつくづく思うが「運が大事」だ。もちろん営業努力は惜しまずが基本だが、運の要素に大きく左右されると私は感じる。
大谷翔平選手が高校時代に恩師からの教えで「ゴミは人が落とした運、ゴミを拾うことで運を拾う」という有名な話があるのだが、それにならい私もゴミを拾うようにしている。ただし、ゴミを拾っている時に「運を上げるために拾う」と思ってしまっている自分に気付き、そのような邪な気持ちを持つ自分に薄ら気恥ずかしくなってしまうのだから、効果のほどはいかばかりか。
そしてもう一つ心がけているのは、「ありがとう」をいうこと。大阪時代体験したのは「ありがとう」の文化で、みんな何かにつけてお互い「ありがとう」という。お釣りもらったらありがとう、タクシーから降りる時、運転手にありがとう、人に何かしてもらったら「すいません」ではなく「ありがとう」、これだけでもお互い気持ちが良くなる。
感謝の気持ちを常に持ち、誰に対しても誠実に生きていれば、お天道様も見てくれているはず。運気アップ間違いなし。おっと、ゴミが落ちているな。(郡山市安積町、コノマチ不動産社長)
福島民報 2025年6月12日 朝刊より

大阪時代、払う側のお客さんが「ありがとう!」というのをいたるところで見て衝撃を受けた記憶があります。昔は「お客様は神様です」的な文句があるほど、客と店の立場は圧倒的に客が上ではなかったでしょうか。お店の人が「ありがとうございました」というのは良くありふれた光景ですが、お客様が支払い後に「ありがとう~!」と去っていく様は、私の目にはカッコ良く映りました。そんな私も10年も大阪にいれば、勝手に「ありがとう~!」が身についていましたけどね。笑
距離感が近くなるうえに、気軽に感謝を伝えれるこの関西の文化は今も身に染み付き、「ありがとう~!」と言っています。
また、なるべくネガティブワードを使わないように、人に何かしてもらったり、助けてもらった時ほど「すいません」ではなく「ありがとう」を言うように心がけています。気づいたら言ってしまっている「すいません」。「ありがとう」に置き換えれる場面は多くあると思います。その言いかえを意識するだけでも変わってくると思っています。